相続した実家の土地を整理しようと、市役所の空き家バンクの担当者さんに相談したときのことです。 「あ、これ、抵当権が残ったままなので、この状態では売買できないですよ」とアドバイスをいただきました。「えっ、まさか?」と思い、早速、登記事項証明書(登記簿)の乙区にある「権利者その他の事項」を確認してみました。
そこにはなんと、「昭和4年に250円を借りて、抵当権が設定された」という記録が。
共同担保目録の番号とともに、抵当権者として記載されていたのは「株式会社宮崎農工銀行」という、聞き覚えのない名前でした。
生前、父母からは「借金なんてない」と聞いていましたし、実体としてはとっくに完済されているはずです。
だからこそ、これまで登記内容なんて気にしたこともありませんでした。
しかし、いくら実体のない古い抵当権(休眠抵当権)だとしても、登記は「何もしなければ、何も変わらないまま」そこに残り続けます。こうして、自分でやってみる「抵当権抹消プロジェクト」が始動しました。
何事も勉強、やってみよう精神です。
1. 「宮崎農工銀行」の歴史をたどる
まずは、この「宮崎農工銀行」とは何ぞや?という調査からスタートです。
調べてみると、大正時代に各県に設立された「農工銀行」は、その後に日本勧業銀行へ合併され、第一勧業銀行を経て、現在のみずほ銀行へと繋がっていることがわかりました。
「それなら、みずほ銀行に行けばいいのか」と見当をつけ、さっそく店舗の窓口へ。「昭和初期の抵当権を抹消したいのですが……」と相談してみました。
すると、対応してくださった女性行員の方がもの凄く丁寧で、今後の手続きについて子細に教えてくださいました。みずほの看板を背負ったその素晴らしい応対に、ただただ感謝です。
2. 自分でできる!手続きのざっくり5ステップ
銀行で教えてもらった手続きの流れは、大まかに以下の5つのステップでした。
そもそも、なぜ抹消されずに残っていたのか?
昔の田舎の不動産は流動性が低く、長子相続が当たり前でした。
ここで盲点なのが、「抵当権の設定は銀行がするけれど、完済後の抹消手続きは借りた人が自分でしなければならない」という点です。銀行が自動的に消してくれるわけではありません。
そのため、「お金は返し終わったんだから、わざわざ法務局に行く必要もないだろう」と、そのまま放置されてしまうケースが昔は非常に多かったのだろうと思います。私の物件も、空き家バンクへの登録というきっかけがなければ、ずっとそのままだったはずです。
自分でやってみた感想:これは「ルーツをたどる旅」
通常、こうした手続きは司法書士などの専門家に依頼される方が多いと思います。
しかし、自分が相続した土地の背景や、大正・昭和から続く歴史の糸を自分でたどるプロセスは、まるで「我が家のルーツをたどる旅」のようでした。
月に1〜2回ほど寝泊まりして管理しているものの、放置すればいずれ朽ち果ててしまうかもしれない大切な実家。ご先祖様が守ってきた土地を、次の時代に使ってくれる人へ綺麗な形でバトンタッチするために、このタイミングで自分で手続きができたことは、ご先祖様への一番の恩返し(感謝のしるし)になった気がします。
もし時間にゆとりがあり、ご自身の「ルーツの旅」に出てみたいと思われるなら、自分でやる古い抵当権の抹消登記、とってもおすすめですよ。